日本テレビで昔櫻井よしこさん(現在はジャーナリスト)がニュースキャスターをやっておられたころ、私は週3回のペースで深夜23:00のニュース番組を英語に訳していた。 週2回は名古屋にあるプロ通訳養成機関で講師をしていたので、名古屋発21:15の最終新幹線に乗って新横浜まで帰宅していたので、週3回が精いっぱいだった。ということは週5日は毎日夜中の1:00過ぎの帰宅。 つらい毎日だった。 それでも、昼間は朝9:00から企業などで会議を通訳していた。 麹町の日本テレビからテレビ局が用意してくれているタクシーで帰宅していたが、タクシーの運転手さんに着いたら起こしてください、といっていつも寝ていた。 フジテレビとは違って、日本テレビの場合は、タレントさん優先でタクシーに乗るので、時々待たされることもあった。翌日9:00から会議通訳の場合は、待つのがつらい。 守衛さんが「タレントさんですか? スタッフですか?」と毎回聞く。 いい加減、タレントです、とウソをつきたくなるほどつらく疲労しているときもあった。まだ、30代の頃の話なんで、睡眠時間2時間のときもあった。
本題に戻して、TVのニュースというのは、あれば同時通訳は10%くらいしかない。90%は番組が始まる直前に翻訳してある。でも、かなりぎりぎりで日本語原稿を渡される。桜井さんが読む原稿ができあがるまでは、何もできない。 それもその原稿がきたないわかりづらい文字で書かれている。桜井さんはそんな原稿をよくも読めるな、と感心していた。
間際になってやっと報道部スタッフが走ってきて、「お願いします!!」といって原稿を持ってくる。
私もあわてて英語に翻訳する。
でも、あまりあわてて、最大の失敗は、1988年と書くべきところを、1898年と入力ミスをしたことがあった。 アメリカ人のアナウンサーがそのミスに気づいて、1898と言った後、1988と言い直してくれたので、なんとか救われた。 でも、放送後、アナウンサーからしかられた。
翻訳が間に合わないときは、同時通訳となる。 それは先ほど言ったように、めったにない。
アメリカのCNNとかは、また別である。
前もって英語音声を何回も聞いている。それで同時通訳をしているので、これも完全なる同時通訳ではない。 ただ、この種のニュースは原稿がない。 かなりリスニング力がないとできない。
もちろん純粋な同時通訳もあるが、文字とおり100%を訳しているのではない。 60%から70%くらいで上出来だと思う。 それもひりでやるのではなく、終日の仕事の場合は、3人編成で1人15分づつ交代する。 半日の仕事の場合は2人編成が多い。