毎日10分間でいいから英文日記を書きましょうとお奨めしました。
その際は、いつも言っているように英借文をしてください。
英作文と英借文の違いは何でしょうか?
復習になります。
英作文(=和文英訳)とは、
「この日本語を英語ではどう言うのだろう」という日本語をベースに考えて作る英文のことです。
一方、英借文というのは、
「この英語表現を使って、自分の文脈で英語を表現してみよう」というものです。
英借文をしているつもりでも、
無意識に日本語を頭に浮かべて英作文(=翻訳)をしていることがよくありますから、注意してください。
以前引用した英文を再度使いますが、
サウナや温泉がある健康ランドで私が見た看板です。
「床が滑りやすくなっていますので、足元にご注意ください。」
この日本語の下に英文がありました。
こうありました。
As the floor is slippery, please watch your step.
これが日本語を翻訳した和文英訳(=英作文)というものです。
正しくは、
Watch out for slippery floor
がいいでしょう。
これは英語圏で看板を見たらなんと書いてあるかな?
を思い出しながらかいた英文です。
翻訳ではないです。
極端な例を挙げます。
「さようなら」は英語で何と言いますか?
バカにするな!と怒らないでください。
Good-bye
ですね?
「さようなら」というのは、
「今から私はこれこれ、しかじかをやらないといけないという予定が
あるので、この辺で失礼いたします」という言葉に対して、
「さようであるならば・・・・」が「さようなら」に変わったのです。
絶対に、
In that case(=その場合は)と言わないですね?
別れる時には、英語国民はGood-byeと言っているからそう言いますね?
英語国民の場合は、
「神様があなたのそばにいますように」という意味から
そう変化したのです。
では、プロが翻訳するときには、
日本語をベースに和文英訳しているではないか!
という反論もうかがえます。
通訳が日本語を英語に変えるときにも、
和文英訳しているではないか!
という反論もうかがえます。
私は、それはあなたの誤解だとあえて申し上げます。
まず、通訳のほうから解説いたします。
通訳で一字一句訳していたら、おそらく5分、10分が体力の限界でしょう。
もうへとへとに疲れます。
上手な通訳は相手が言いたい情報を自分なりの言い回しで
表現をがらっと変えて言っています。
つまり、口頭英作文をしているのではないです。
コンセプトだけを伝達するだけです。
赤坂の(株)ガデリウス様の幹部役員会議の通訳をやらせていただいたとき、
2人体制で1日中通訳をいたしました。
僭越ながら、生意気なことを言って申し訳ないですが、
もうひとりの通訳の方は1年目の新人だったので、
あまりお馴れになっていなかったせいか、
英語発言を一字一句日本語に翻訳されていました。
結局、その通訳は10分くらいで疲労が頂点に達し、
泣き始めました。
そして私が2人分の通訳をしました。
私も1983年のデビュー時はそんな感じであったことを思い出しました。
つまり、一字一句を翻訳するのではなく、
相手が言いたいコンセプトを自分なりの表現で言い直すのです。
これならば、翻訳ではなくなります。
翻訳で言えば、
「坂本龍馬自叙伝」の翻訳は結構苦労しました。
第1章の最初に
「わーい、しょんべん小僧やーい」と4人の子供が
坂本龍馬をいじめているシーンがあります。
「しょんべん小僧」をどう和文英訳しようかと考え込みました。
私は、You still wet your bed, Huh?
と表現をがらりと変えました。
(おまえは今でもおねしょをしてるんだって?)
という感じに変えました。
英語国民ならこのシーンではどう言っているかを
思い出すという作業です。
英語日記を書くときは、
日本語を思い出すのでなく。
言いたいシーンを絵柄で想像して、
それを英語国民ならどういっているかを思い出すようにしましょう。
それは、翻訳ではありません。
私も通訳者ですが、コロナで落ち着いて英語と向き合う時間ができ、少し立ち止まって自分の英語勉強法を見直して見たところ、やはり英借文が素晴らしいことを再認識しました。文法も、表現も、リスニング、リーディングもすべて英借文から習得できますね。分かりやすいご説明を有り難うございました。
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