通訳や英語の教師を長い間やっていると、
いろいろなことがあります。
当時は大変な苦労をしたことでも、
時が経った今は、懐かしい記憶として蘇ってきます。
テレビで久しぶりに、私の昔の生徒さんを見かけました。
フジテレビの女子アナウンサーでした。
30年も前のことなので、名前をすっかり忘れていました。
テレビで名前を聞いたとき、
「あ! そういう名前だったっけ・・・」
と思い出したくらいの、浅いお付き合いでした。
当時は毎朝30分間の対談番組をお持ちで、
また報道レポーターとしても活躍されている
とても多忙な生徒さんでした。
ある日、学校の玄関前に
フジテレビの報道車が路駐していました。
なんだろうと、窓から外を覗いてみると、
その生徒さんが、アポなしで私の事務所に入ってきて、
息を切らしながらこう言いました。
「高松先生、今ならレッスンのない時間帯だと
知っていましたので、突然ですが助けてください。
XXX氏が検察庁に書類送検されました、って
英語でなんて言えばいいですか?」
大急ぎで英文を紙に書いて渡すと、
彼女は笑顔で「ありがとうございました!」と言って
部屋から出て行きました。
ずいぶん個性豊かな生徒さんだな、と感じました。
学校を卒業するときには、こう言いました。
「私、フジテレビを退職するんです。
アメリカ人と結婚したので、アメリカに移住して、
アメリカの大学院で経営学を勉強したいんです」
その後、確かに彼女のアメリカ生活が、
フジテレビで報道されていました。
当時はまだ20代の彼女でした。
そして時は流れ・・・
なんと一昨年、彼女を再びテレビで見かけました。
今度は、彼女は東京にお住まいでした。
お子さんも一緒に、テレビに登場していました。
そして何よりもびっくりしたのは、
彼女は300人以上の従業員を抱える企業の
社長さんになっていたのです。
彼女の東京の豪邸も報道されていました。
懐かしさと、多少のジェラシーも交えて見ていました。
30年も経つと、確かにふくよかな、でも貫禄のある、
実に魅力的な女性へと変身されていました。