今回も「生臭い」現場のお話しです。
もう少しお付き合いください。
機密情報に関しては、別の企業でこんなこともありました。
東京(詳しい地名と企業名は伏せます)の某建設会社が
インド政府から依頼を受け、
インドにプラネタリウムを建設することになりました。
私がそこで体験した面倒なこととは・・・
お金をスイスの銀行に隠す!
ということでした。(詳しいことは言えませんが)
友人の通訳仲間から引き継いだ仕事だったのですが、
私が受けてからは、私にばかり指名がかかり、
その友人には二度と依頼がなかったようです。
その後、その企業役員から
数年間に渡って、年賀状が届くようになりました。
他言しないよう、念押しの意味があったように感じました。
もちろん、秘密は漏らしたりしない私ですが、
通訳にはそういう面倒な部分があります。
機密情報でなくとも、
通訳が間に入ると、話しがこじれることもあります。
私が通訳を担当した某メーカーの商談では、
アメリカ本社と日本支社が口論になってしまい、
五分で会議が終わったことがありました。
それから二度と仕事の依頼はありませんでした。
聞くところによると、
その企業も通訳を雇うことをやめ、
社員に通訳をやらせることになったらしいです。
微妙な感情やニュアンスが、
通訳を介すると伝わらないからだそうです。
おっしゃるとおりです。感情までは伝えられません。
本田技研工業のアメリカ工場(Merrysville, Ohio)では、
アメリカ人と日本人との喧嘩が時々ありました。
個人的なものではなく、
部署間で作業がスムーズにいかない理由を他部署のせいにして、
相手の部署に苦情を言うという、よくある話です。
こうした場面では、声を荒げて発言されても困ります。
仮に、通訳も一緒に声を荒げたとしても、
興奮した感情までは伝えきれないからです。
面倒な部分だな・・・と思いながら、仕事をしていました。