今日は、
プロの翻訳者・通訳者として仕事をしてきた私の、
少し「生臭い」現場のお話しをしましょう。
翻訳でも通訳でも、
企業の極秘情報を漏洩しないという契約は
かなり面倒なものでした。
翻訳の場合は、ほとんどが企業内で作業させられ、
在宅でできるものはあまりなかったです。
在宅でできたのは、
経済産業省やJETRO(虎ノ門の貿易振興会)の
翻訳ぐらいだったと思います。
厳格な企業は、作業を始める前に「念書」を書かせます。
情報を漏洩しないという念書です。
私の場合、
自動車メーカーやロボット工学、静電塗装機など、
エンジニアの方々が書かれたものが多かったので、
やむを得なかったのかもしれません。
また、翻訳でも通訳でも、発注側の共通点として、
多くは前回と同じ翻訳者・通訳者に依頼します。
そのため、いったん自動車メーカーの仕事をすると、
自動車メーカーからの依頼が連続しました。
私の場合、複数のメーカーからお仕事を頂いていたので、
トヨタ、日産、本田技研工業とか、
マツダ、三菱、日野自動車、Ford など、
ライバル同士の企業間を行き来していました。
皆さん、どう思っておられるのか
一度聞いてみたかったのですが、聞く勇気はなかったです。
本田技研工業の場合は、
1年間の契約が終わってオハイオ工場から帰国しましたが、
翻訳が最後まで終わっていなかったという理由で、
1か月間だけオハイオに戻されました。
他の翻訳者を使うことを危惧したからです。
トヨタ自動車では、
社内の英検1級保持者を10人ほど集め、
通訳を養成しようとしていました。
情報の漏洩を防ぐため、通訳を雇いたくなかったのです。
そのため、私に通訳養成の仕事依頼が来ました。
こうした一流企業との長期間契約は、
生徒さんのレベルも高く、しかも安定しているので、
私にとってはとても嬉しいお仕事でした。