私の通訳デビューの仕事が商談通訳でした。
これはどちらかと言えば、通訳業界では2流の通訳がやるジャンルだというレッテルが
貼られていますが、私はそうは思わないという意見です。
コミュニケーションは言葉だけで伝達しますか?
そうは思わないです。
特にイントネーション、声の強さ、弱さなどで印象がかなり変わります。
易しい感じ、きつい感じ、熱意の感じられる場合、どうでもいいといった感じに
聞こえる場合・・・・・
あなたは通訳には無関係でしょうが、
しかし意思伝達というのは言葉だけでやるものではありません。
それが実用英語と学校英語の違いです。
商談通訳をいろいろやって私の結論は、
商談通訳は感情移入があるので難しいという結論です。
私の通訳仲間が面白い経験をしました。
アメリカ人との日本人間の商談が始まって
5分で仕事が終わりました。
彼女にとっては同じ通訳料金で楽な仕事となりましたが、私は
「どうしたの?何があったの?」と聞きました。
彼女いわく、
日本企業のほうがアメリカ人の言葉にイラっときて、
「そんなことをいわれるなら話し合いはできませんね」となったそうです。
しかし、私にはなんとなくわかるのです。
彼女の友達である私は彼女が結構きつい言い方でしゃべること、
ぶっきらぼうにしゃべることを知っているので、それを指摘したら、
「それも原因だったかも・・・」と反省していました。
私の場合でも、某アメリカ企業と日本企業の商談をやったとき、
どこまで感情を移入してもかまわないのかと迷いました。
その企業はやはり、通訳を使わないで会議をするという方針に変更されました。
やはり、通訳では、100%のコミュニケーションはムリだと悟ったからです。
これはどんな通訳でもそうなのですが、
完璧な通訳なんてありません。
意思伝達は心と心の接触ですから、
機械的に言葉だけで完璧にできるはずはありません。
言葉では「いいえ」と否定していても、
目を見ればウソをついているとわかるときもありますね。
I’m sorry, but I cannot accept your request.
これをどう訳すか?
すみません。その依頼はお引き受けできません。
ですが、それをどのようなイントネーションで言うかによって
いろいろな意思伝達ができますね?